INTERVIEW

障がいの有無に関係なく
挑戦できる会社

セールス(営業担当)

転職のきっかけ

社会人1年目で目の病気が判明

もともと化粧品が好きで、大学卒業後は外資系化粧品会社に販売員として入社しました。ところが働き始めると、店内で人にぶつかってしまう、細心の注意を払って掃除をしても拭き残しがあるなど、できないことが続くように……。目の異変を感じて病院を受診したところ、網膜の機能が弱まっていく進行性の難病と判明。入社からわずか半年後のことでした。その会社では販売員としての継続雇用はできないと言われ、障がい者雇用に切り替えてオフィス内の庶務業務をするか、辞めるかの選択を迫られました。そんなときに、同じ病気で私より症状が進んでいても、資生堂でいきいきと働く女性のインタビュー記事を見つけたのです。

好きな化粧品の仕事を続けたい

その方がどのように病気と向き合っているのか、その方とお話ししたいとわらにもすがる思いでコンシューマーセンターに連絡。すると後日、ご本人からメールが届き、病気や仕事の悩みについて助言をいただくことができました。その中で「通信営業担当」というポジションでキャリア採用があると知り、採用説明会に参加しました。詳しく聞くと、ちょうど視覚障がい者の職域拡大を目指す社内プロジェクトが発足して一期生を募集中であり、障がいの有無に関係なく仕事を任せてもらえるとのこと。やはり「好きな化粧品に関わりたい」、「やりがいのある仕事をしたい」、と思い切って応募しました。

資生堂を選んだ理由

10代の頃から憧れていた会社

私が化粧品を好きになったきっかけは、資生堂のメイクアップブランド「マジョリカマジョルカ」です。それまで化粧品といえば母が使っているような上品なもののイメージしかなかったのですが、中学生のときにドラッグストアでマジョリカマジョルカのアイシャドウに出会い、化粧品に対するイメージが一変。ファンタジックな世界観に衝撃を受け、こんなにワクワクするブランドをつくる資生堂ってすごい!と思い、化粧品会社で働きたいという夢につながりました。ただ、新卒の就職活動では「自分には無理だろう」と最初から諦めて選考は受けずじまい。でも病気を機に、後悔しないように思い切って行動を起こしたことで人生が変わりました。

「本気で期待する」という言葉が刺さった

資生堂の採用サイトには、障がい者雇用のポリシーとして次の3つが掲げられています。「本気で期待する」「必要な配慮はするが特別扱いはしない」「一生懸命働きたい情熱のある社員を積極的に応援する」。この中で特に私の心に刺さったのは「本気で期待する」という言葉。前職で、見えないならやらなくていいと言われ、自信を失いかけた私ですが、資生堂は個々の障がいを受け入れたうえで、組織の力として必要としてくれる。これは、とても嬉しい言葉でした。たとえ今後、病状が進行しても、この会社なら不自由をマイナスに捉えることなく、やりがいのある仕事を続けていけるのではないかと思いました。

入社後のキャリア

声でつながる通信営業

通信営業担当として、東京・神奈川の化粧品専門店約100店を担当しています。通信営業とは、当社の商品を扱ってくださっている化粧品専門店を中心に、電話やメール、FAXなどでコンタクトを取り、お店には直接訪問せずに営業を行う仕事。お店からの問い合わせに答えるほか、新商品が出ると一店ごとに30分ほどお時間をいただき、あらかじめ送付しておいた商品ブックを見ていただきながら電話でご説明する「電話セミナー」を行います。島しょ部など、遠方のお店でも距離を感じないコミュニケーションができるのも通信営業ならではの強みです。資生堂ではオフィスワークとリモートワークを組み合わせた働き方ができるため、今は週2日出社、週3日在宅で仕事をしています。私は前職であまりパソコンを使っていなかったのですが、通信営業担当の業務でパソコンスキルは必須です。そのため、入社前に4か月間、日本視覚障害者職能開発センターに通い、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)※を使ったOffice系ソフトの操作スキルなどを身に付けました。

01

※資生堂では視覚障がい者の職域拡大をめざすプロジェクトの推進に伴い、スクリーンリーダーを使って社内システムが利用できる方法を徹底的に検証した。
いまではスクリーンリーダー利用者であっても晴眼者と変わらず社内システムを利用できる。

自作の『おすすめ通信』が好評

通信営業担当は基本的に得意先に顔を見せることはありませんが、目のことでお店にご迷惑をかけるのではないかとの懸念があったため、まず私自身を知っていただいてから信頼関係を築きたいと考えました。そこで自己紹介を兼ねて、自分自身の顔写真を入れたオリジナルの『おすすめ通信』と『トレンド通信』という2つの紙媒体を作成。前者には季節商品や新商品について、自分で使ってみた感想や販促アイディアを盛り込み、後者には来店客との会話の糸口になるような若者目線の情報をまとめました。これを担当店にお届けすると、とても評判がよく、今では他のメンバーが担当するお店にも定期配布するようになりました。この夏には『おすすめ通信』で紹介したアネッサの商品比較表とオリジナルPOPを活用していただいたことで売り上げが伸び、前年比200%増を達成。営業としての成果につながり、大きなやりがいを感じています。

02

今後目指すキャリアについて

いつか商品開発に携わりたい

今は、視覚障がい者の職域拡大プロジェクトの一期生として通信営業の仕事にまい進し、視覚障がい者が活躍できる仕事の領域はたくさんあるということを伝えていきたいです。将来的には、いつか商品開発に携わり、私が中学生のときにマジョリカマジョルカに出会ったように、私も商品を手に取った方に夢をお届けする側になれたら嬉しいです。また、病気の治療や障がいなどで肌に深い悩みをお持ちの方に、「化粧のちから」で元気になっていただくライフクオリティ―事業にも関心があります。自分の経験を活かし、化粧品を通じて社会に多面的に関わっていきたいと考えています。

働く環境、資生堂の風土について

できる方法をみんなで考える

自然に支え合う風土があり、なんでもフランクに話せる環境です。所属する部署には通信営業担当が7名おり、そのうち3名が視覚障がい者。障がいの程度はさまざまなので、それぞれが必要に応じて同僚にサポートしてもらったり、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)や、視覚情報を音声に変換するスマホアプリなどの支援ツールを活用しています。私の場合は、読みづらいFAXの文字起こしや商品の発注作業は晴眼者の同僚にお願いしています。また、判別しづらい色があるので、「これは青っぽいピンク、これはオレンジっぽいピンク」などと言葉で説明をしてもらうことも。見えないと諦めてしまうこともあると思いますが、資生堂ではできる方法をみんなで一緒に考えてくれますし、見えないことも自然なこととして受け入れてくれるので、障がいの有無に関係なく、切磋琢磨しながら働ける環境だと思います。
(職場では同僚に視覚障がいへの理解を深めてもらうための勉強会が複数回実施されたり、全社員向けにも昼休みを利用して気軽に参加できる障がい理解セミナーが開催されている)

自分のアイディアをかたちに

仕事に関しては、社員の考えや自主性を尊重し、伸び伸びやらせてくれる会社だと思います。前述のオリジナル『おすすめ通信』についても、「こういうのを作ってみたのですが……」と上司に見せたところ、「いいね!今度の配送に入れてみよう」と認めていただけて嬉しかったです。チャレンジしたいことがあればトライでき、失敗してもまた挑戦できるのは幸せなこと。わからないことや困ったときには上司や先輩が的確にアドバイスをくれるので、一つひとつが成長につながっていると感じます。何事にも全力で取り組むのが私のポリシーですが、資生堂に入って一層ポジティブになったように思います。

03

ANOTHER INTERVIEW